清皇学院記
「よし、決めた!」


 玲華は勢いよく立ち上がった

せいで、箸に持っていた玉子焼きを

落としそうになった。

「え、ホント?」

 李緒も動かしていた手を止める。

「うん、決めたよ」

「どうするの!?」


 李緒が楽しげに目を輝かせて

こちらを見た。

「それはね…」


 玲華はまじまじと李緒を見る。

「会って、その場で決めるんだよ」


 李緒はイスからずれ落ちる衝動を

何とか押さえ、机にしがみついた。

「ちょ、結局考えてないし」

「いや、これが結論だよ、李緒」


 玲華は箸を握って、席を立った。

「アドリブで行こう。流れに任せよう」

「まじかよ…」


 李緒は不安そうにため息をついた。 
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