清皇学院記
「まぁ、それが玲華らしいというか」


 李緒は玲華の考えに何とか賛成し、

玲華はうんうんと頷いていた。

「うん、頑張ってくるよ」


 李緒の言葉で玲華は自信がついたのか

残りのお弁当のおかずをさっさと食べて

ペットボトルのお茶を飲んだ。


***


「じゃ、いってきます」


 小声で李緒に敬礼を取り、

李緒もそれを返す。

「いってらっしゃい!」


 お昼の休みのチャイムが鳴った直後

玲華は冷静に教室を出た。

玲華は廊下を突き進み、階段を上がり、

屋上へと向かう。


 緊張と不安で手が振るえ、屋上のドアを

開けるのを少し躊躇った。玲華は呼吸を

落ち着かせ、思い切ってドアを押した。


 玲華はすぐそこに蓮がいると思ってたので

目の前に蒼い空だけが広がったときは

わずかな消失感が漂った。

「あれ…いないのかなぁ」


 キョロキョロと辺りを見回し、

建物の角を曲がったとき、玲華は

悲鳴を上げてしまいそうになった。


 蓮はドアの方からは直接は見えない

角を曲がったところにあるベンチで

寝ていたのだ。
< 11 / 56 >

この作品をシェア

pagetop