清皇学院記
「あぁ、そうだったな」


 蓮は思い出したように笑い、

いつもの癖なのか、あの時のように

また遠くを見ながら言った。

「それにさ、お前…」

「ん?」

「いろいろ手伝ってくれただろ」

「そうだっけ」


 玲華は思い出すフリをして

頬を指でかいた。

「そう。お前さ、俺のことを真正面から

見てくれたのが……」

「うん」

「俺、それ…すっごく嬉しかったんだ」


 蓮はそういうとベンチから立ち上がった。


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