清皇学院記
「ありがと。それで時間が」

 それを聞くと蓮のテンションは

一気に下がってしまった。

「今日部活あって、俺6時までだけど。

玲華は…どうすんだよ」

「大丈夫。今日ね、委員会あるんだ

遅くなるから一緒に帰れるかなぁ?」


 蓮が目を見開いた。そして二人で

ハイタッチをする。

「お前、最高だなっ」


 よしよしと、蓮は玲華の頭を撫でる。

「ん、…っ。あ、でね、もし同時に

終わらなかったら、私は図書室で待ってるから」

「あぁ、分かった。俺、終わったら即効で行くよ」

「約束だよ」


 との具合に、玲華と蓮は、無事に一緒に帰る

約束をしていたのである。玲華は曲をBGMのように

しか聞いていない。もう気分が上の空なのである。

「科野、聞いてるの?」

 いきなり現実に戻された感じがした。

「………何?」


 返事までに時間がかかる。

曲の素晴らしさに浸っているのでは

なく、このあとの楽しみに空想を

張り巡らしていた。

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