清皇学院記
「これが最後の曲だけど、聞いてた?」


 ただいま、17時38分。玲華は

時計で時間を確認すると、ひとつ

大きな伸びをして答えた。

「もちろん、聞いてたよ」


 30曲の中から、クラスで

決める5曲の候補を決めるのは

あまり容易なことではなかった。

しかし、玲華の中ではもう既に

5曲決まっていたので、最後の曲は

歌詞の一部も思い出せない。

「で、どれがいいかな」

「3、11、16、20、28がいい」


 玲華は自分のメモに目を落とした。

「俺もそれがいいと思う。

他のとは一目置くっていうか」

「そうね、題名を書いて、先生に

報告しましょ」


 森山は提出用の紙に今決めた

5曲の題名を書いていく。

二人はその紙を持って職員室に向かう。

「失礼します。学級委員の森山です。

倉峰先生いらっしゃいますか?」


 森山が職員室で先生と話している間、

玲華は校庭に目を向けた。そこには

普段、屋上での態度からは想像できない

活気に満ちた蓮が熱烈にサッカーをしてる

姿があった。
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