清皇学院記
 サッカー部の顧問の先生が一旦

ストップをかけ、部員を集めた。

蓮は昇降口の近くにいる玲華の姿を

見つけ、お互いに笑いかけた。

「あと5分」


 蓮は何か言っていたが玲華には

聞き取れなかった。だが、手で

5分とやっていることが玲華には

分かり、もうすぐ終わることを知った。

「あ、いたいた。科野」


 後ろから倉峰の声がかかる。

手にはさっきの提出用の紙を持っている。

「これ、荒木先生に渡しておくから。

二人とも、お疲れ様。それじゃあね」

「はい、さようなら」


 玲華は急いで教室に戻って、

荷物を持ち、再び、昇降口へ降りた。

そこには靴を履いている蓮がいて、

小声で「西門」というと、

一人ですたすたと行ってしまった。


 玲華も靴を履いて、あとから

蓮を追いかけるように西門に向かった。


 西門出て蓮の姿を探すと、すぐ

左に曲がった角に寄りかかっていた。

「帰ろ」

「うん」


 玲華はそう返事をして

蓮と一緒に歩いた。
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