清皇学院記
「頑張るよ、俺」


 とだけ蓮は言い、それからは

二人して黙ってしまった。

「おい、鷺川」


 後ろから、蓮を呼ぶ声がした。

玲華は知らない人の声だったが、

この人が道を尋ねるような

雰囲気ではないということだけは

嫌でも伝わってきた。

「ああ?」


 蓮も同じように、返事を返す。

蓮はこの人と知り合いなのだろうか。

「ちょっと顔貸しな。瀬戸がお呼びだよ」


 振り返ると、そこにいるのは一人

ではなかった。前に3人、もう一度後ろを

見てみると、そこにも3人いた。
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