清皇学院記
「どうした」

「蓮はどうなるの?」


 解禁ということは、自分が

自由になることぐらいは分かる。

だけど、蓮がどうなるかは

聞かされていない。

「あぁ、あとで、今から行く場所に

ついたら全部教えてやる」

「はい」


 無言で歩くこと3分。

玲華と瀬戸は倉庫のような

ところに出た。どうやらここは

地上らしく、上の窓から日差しが

差し込んでいる。

「では教えてやる」


 瀬戸がゆっくりと話し始めた。

そのタイミングで、仲間の一人が

蓮を連れてきた。


 玲華の見る限り、かなりの傷がある。

昨日より明らかに増えているのが分かる。


「蓮…!」


 蓮はぐったりしていて、こちらを

見るのもやっとのようだった。

「蓮はな、1年前、自らの手で自分を

悪に染めた。こっちの世界に入ったんだ。

蓮は若くして、喧嘩も強いし、何より

俺らの世界の仕組みをよく分かってる。

誰もが俺の次の代は蓮だと思っていた。」


 玲華は瀬戸の話に釘付けになっていた。

蓮がそんなことするはずない、と思い

たかったが、それは願望に過ぎないの

だろうとすぐに悟った。
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