清皇学院記
「到着しました。我々は

先に突入しますので、合図を

出したら、お入りください」

「はい」


 玲華は固唾をごくりと飲んだ。

恐怖と緊張と高ぶりがいっぺんに

玲華に襲い掛かってきて、手を

握る力が自然と強くなった。


 荏田さんを先頭に、SPたちは

倉庫のドアを開け、中に押しかける。

「誰だおめぇら!?」

 神楽の声がいち早く聞こえた。

次にドタバタと暴れる音が聞こえたが、

少しして、何の音もしなくなった。

「完了しました」


 荏田さんの声が聞こえる。

玲華は一歩一歩を踏みしめて、

倉庫に入った。

「おめぇは、昨日の…」

 神楽は床にうずくまっていたが、

何とか、あとから入ってきた人が

誰なのか確認しようと必死だった。

「神楽さん、でしたっけ?

今日は蓮を連れ戻しに来たの」

「瀬戸に言えよ…、っ」


 と神楽が言ったとき、後ろから

瀬戸が歩いてきたのが見えた。

「ほぉ、やけに騒がしいと思ったら

玲華ちゃん、よく来たね」

「どうも。蓮はどこにいるの」

「蓮ならそこにいるよ」


 瀬戸が後ろを指差した。

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