清皇学院記
「死ねぇぇぇえっ!」


 鉄棒を勢いよく振り回す男が

玲華に向かって突進してきていた。

「玲華さんっ」


 鉄棒を振り上げた男の手を掴み、

縛りあげたのは荏田さんだった。

「ありがとう」

 玲華は再び走ったが、

瀬戸が蓮の首を腕で吊り上げ、

頭に銃を突きつけていた。

「一歩も動くんじゃねぇぞ」

「……っ」


 玲華は動けずにいた。もう残りの

人はいない。全てSPたちで動けなく

してある。残るは瀬戸、ただ一人。

「れい…っ、んん」

「黙れ」


 蓮は玲華の名前を呼ぼうとしたが、

瀬戸がその前に口を塞いでしまった。

「科野、これはヒーローごっこでは

ないんだぞ?」


 瀬戸が高笑いをした。SPたちも

玲華も当然動けないでいる。

「いやだ…っ」


 そんなはずなかったのに。

絶対成功すると思っていたから、

玲華はだんだん自信がなくなると

肩ががくがくしてきた。

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