清皇学院記
「さぁて」


 瀬戸は不気味な笑みを浮かべた。

「どうする?どの道、お前の命も

ないと思え。ほら…」


 瀬戸は試しに、床で倒れている

仲間の一人に銃先を向けて、

弾を撃った。


 倉庫に銃声がこだまする。

真紅色の血がどくどくと流れ、

床は血の海となった。

「こいつはな、スパイなんだ。

どうやって処分するか、俺も

考えていたんだ。いいだろ」


 銃は本物だ。

玲華は目の前で人が殺される

だなんて思ってもいなかった。


 玲華は焦る一方だった。

諦めかけていたそのとき、

玲華が忘れていた存在が、

ようやく姿を現した。


“ウウウゥゥゥゥゥッ”


 耳を噤みたくなるような

サイレン音。そして見える赤い

光線とは裏腹に瀬戸の表情は

一気に青ざめた。
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