清皇学院記
 玲華はまだきちんとした返事を

考えていたなかった。

確かに、蓮のことは玲華は嫌いじゃ

ないはずだし、むしろ好きなはず。

だったら、付き合うのに何の問題も

あるわけがないのに、どうして―――。


 この気持ちは何だろう。

玲華の心の奥底に、自分と蓮が付き合う

ことを周りがよく思わないだとか、

それが知れ渡った時、お互いに辛い

思いをするんじゃないかと不安になったから。

「何言うか、いい加減考えた?」

 
 李緒はこのセリフを前から何度も

玲華に言っている。

「まだ、だね」

「はぁ、今日なんだよ?

このあとすぐ、なんだよ?」

「しーっ、声がでかいって」

 玲華は一人盛り上がる李緒の

声の大きさに注意し、また

ため息をついた。

「ホント、どうしようかなぁ」


 玲華は窓の外を眺めた。校庭で

スプリンクラーで水を撒いている

様子を玲華はぼーっと見ていた。
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