観察日記②
目が覚めると病院のベッドの上だった!

馴染みの刑事が待ってましたとばかりに質問攻めにする。

なまじ顔見知りなだけに質問にも遠慮がない。

とにかく、たまたま乗った車両で、不審な女がいたこと

そして、その女がお金を強請っているのを見かけたこと

その後オタクの後ろにぴったりと張り付く女を見て

気になって後を追って行くと女が痴女まがいのことをして

またお金を強要!それに逆上したオタクに殴られ始め

慌てて止めに入って刺されてしまったとそう話した。

元々付けてたとか自分に不利益なことをわざわざ言う必要もない!

刑事は訝しげに俺を見ていたが、こっちは正義故の被害者だ。

これだけ情報を提供したのだから突かれることも無いだろう。

それを見透かしたかのようにニヤっと笑うと俺の携帯を投げてよこした!

そして『携帯の証拠写真はすべてこちらで使わせてもらうよ!

お前がただ刺される男じゃないのは知ってるさ。だが今回は諦めろ』と

慌てて携帯を確認すると証拠の写真は全て消去されていた。

しかたなく俺は『だんな!そりゃないっすよ。刺され損じゃないですか』と

文句を言って携帯を上着にしまいながら心のなかで高らかに笑っていた。
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