ブラックピース
 パン!! パアァァァン……!!

「!!」

 1人思い出し笑いしている最中、また銃声が聞こえた。

 僕は一気に現実に引き戻され、反射的に身構える。

 音源は結構近い所にあるらしく、寝室にいたときよりもハッキリと聞こえた。

 パン!! パン!! パァン!!

 また銃声。その後、すぐにドサリ、と誰かが倒れる音がした。

 深呼吸を1つ。慎重に、先へと進む。

(この先には一体何が……)

僕はこの状況に怖がる所か、楽しささえ感じた。

こんなスリルで現実離れなシチュエーション、今まで経験したことがない。

僕は色んな意味で全身に鳥肌を感じながら、先を急いだ。



 少し歩くと、曲がり角が見えてきた。

 僕は躊躇うことなく角を曲がる。

 曲がった瞬間、僕の鼻がむわっとした血生臭い匂いを感じ取った。

「うっ……」

 僕はその匂いに耐え切れなかったのか、急に全身の力が抜け、床に立て膝をつく。

「ごほっ!! ごほっ!!」

 思ったよりも匂いは強烈で、僕はむせかえる。

 ……匂いを嗅いでむせかえるなんて、生まれて初めてだ。


 しばらくして、咳が収まり平常心を取り戻した僕は立ち上がり、顔をあげた。

「え……??」

 僕は前方で起こっている事態が信じられず、何度も瞬きしたが、一向に状況は変わらない。

「なん、だ……これ……」



 僕の前方では。

 ……廊下を覆い尽くす程のここの使用人達が……

 ……みんな血まみれになって……

 ……力無く倒れていた……。
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