ブラックピース
________ルーラ・・・ス・・・。


そんな弱弱しい声が階段の方から聞こえた。

お母様は、まだ生きているんだ!!

僕は急いで階段を駆け下りた。


お母様は息も絶え絶えで、階段に倒れていた。周りに赤い血の溜まりもあって、僕は目を覆いたくなった。



お母様の全身は血でぬめぬめしていた。

僕はかがんでお母様の手をとり、何度も何度も叫んだ。

「お母様!! お母様!! お母様!!」

声が嗄れる程に呼んで、やっとお母様はうっすらと目を開けた。

「・・・・・・ルーラス・・・・・・」




「ねぇ!! 僕を呼んだのはお母様??」

僕はお母様にそう問いかける。するとお母様は、ゆっくりと小さく頷いた。

「良かっ・・・た・・・・・無事だったの・・・ね・・・ルラ・・・ゴボッ!!ゴホッ・・・・・・」

お母様の口から大量の血が吹き出す。そして血が僕の服にかかった。

「!! 何も言わないで!! 大丈夫!! 助かるよ!! 大丈夫!!!」

大丈夫、大丈夫と根拠のないことを口ばしる僕に、お母様はただただ笑った。

「もう・・・駄目・・・。わた・・・し・・・わかる・・・わ」

「そんなこと言わないで!! 嫌だよ?? 僕、お母様ともっともっと幸せに暮らしたい!!! 何でだよっ? なんで?? 昨日まで楽しく何の不安もなしに暮らしてたのに・・・!! どうして?!?! どうして?!?!」

泣き喚く僕に、お母様は手を握り返し、言った。

「ほんと・・・なんでだろ・・・・・・ね。なんで・・・なんだろね??」

声に嗚咽が混じる。



お母様は泣いていた。


表情こそ笑顔だが、顔は涙と血でぐちゃぐちゃになっていた。




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