魔女の瞳Ⅵ

修内太とは長い付き合いになるけど、彼に手を上げたのはこれが初めてだった。

「わからないの？貴方が私のそばにいたんじゃ、私は全力で戦えないのよ！」

「で、でも…」

修内太はうろたえながらも言葉を紡ぐ。

「あの人は…メグのお母さんだろ？実の母親だろ？そんな人相手に、メグは本気で戦うつもりなのか？血を分けた親に、本気で魔術を行使するつもりなのか？」

「嘗めないでちょうだい」

冷ややかな眼差しで、私は修内太を見据える。

「何か勘違いしてない？修内太…私は魔女よ。人間とは違う、闇の世界に生きる人外…人間の甘っちょろい親子関係の物差しで計らないでちょうだい」

必要とあれば親兄弟さえも葬り去る。

それが闇の世界に生きる人外。

情も何もない、鬼畜の如き存在。

それが私達なのだ。

「だけどね…」

私は修内太の首に手を回す。






そして、柔らかな唇を重ねた…。