魔女の瞳Ⅵ
プスプスと、魔術を受けた傷口が燻る。

この症状からして、『火矢』の魔術。

しかも魔力を凝縮した、相当強力な『火矢』だ。

だけど、どうなっているの…?

何故お母様は詠唱も無しに魔術を行使できるの?

彼女は私や修内太みたいに呪眼を持っている訳じゃない。

ならば魔術の行使には必ず詠唱が必要となる。

私でさえ、高速詠唱によって発動時間を短縮するのが精一杯。

無拍子、無動作の魔術の行使なんて聞いた事もない。

「それは貴女が未熟だからよ、メグ」

その場から一歩も動かないまま、お母様は言った。

「私が教えた高速詠唱で、貴女は満足してしまった…更なる素早い魔術の行使を追求しようとしなかった…デッドゲイトは魔道の探求者…その探求を怠り、現状に甘んじた時点で、貴女は魔女失格です」

そう言ったお母様の目前から。

「!!!!!」

雷光が迸り、私の目の前で凄まじい爆発!

「うぐぁっ!」

電撃と爆風。

私はその身を吹き飛ばされ、洋館の壁を突き抜けて建物の外へと投げ出された!

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