魔女の瞳Ⅵ
お母様が醒めた目でジルコー達を一瞥する。

「貴方は…確か人狼のジルコー君ね…それからそっちのお嬢さんは、デッドゲイトの分家の三女…天羽桜花さん…」

「わ…私の名前をご存知なんですか!?」

伝説の魔女に名前を記憶されていたという事実に、桜花が卒倒しそうになる。

だが。

「お嬢ちゃん、呑まれるんじゃねぇよ」

ザワザワと全身を銀色の体毛で覆いながら、ジルコーが獣人態に変化する。

「この女がどれほどのもんか知らねぇが、今は四門メグからの依頼が優先だ…サインを貰うのはそれからにしな」

「で…でも…」

同じ魔女。

それだけに桜花にはお母様の実力がよくわかる。

サリィ・デッドゲイトに羨望と畏怖の眼差しを向ける者は、何も私や桜花だけではないのだ。

お母様の名は、時折名のある爵位級の悪魔と同列に並べられる。

魔術による戦闘ならば悪魔や真祖の吸血鬼相手でも引けを取らない。

お母様はそういう存在だった。



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