魔女の瞳Ⅵ
お母様が桜花を指差す。

それだけで、光球は忠実に命令を実行した。

天羽桜花の魔力を一滴残らず吸い上げる。

南米に生息するというチスイコウモリが、獲物を見つけてその身に飛びかかるように。

血の色をした光球が、桜花の体に群がる!

そしてその光球は。

「何ボサッとしてやがる!」

間に割って入ったジルコーの体に次々と被弾した!

「あ…がぁああぁ…あ…」

呻き声を上げるジルコー。

張り詰めた彼の筋肉が、柔らかでしなやかな銀色の毛並みが、見る見るうちに瑞々しさを失い、屍同然と化していく。

人外にとって魔力の枯渇とはこういう事。

まさしく生命を吸い取られる行為に等しかった。

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