魔女の瞳Ⅵ
当然お母様も私を見逃してくれる筈もない。

無詠唱で空中へと舞い上がる。

私と同じ『飛翔』の魔術。

彼女は戦闘機もかくや、というスピードで私を追撃してきた!

「く…」

魔力量も、魔術行使の技術も。

私は今もって全盛期のお母様に追いついていない。

お母様の名が一時期ほど語られなくなったのは、単にデッドゲイト家当主を私に譲ったからであって、その実力は当主だった頃と全く変わっていない。

いや、研鑽と探求を続けていた分、昔よりもその魔術は磨きがかかっているかもしれない。

…背後で魔力の収束を感じる。

飛行しつつ振り向くと、同じく空中を飛んで追跡してくるお母様の周囲に、幾つもの魔方陣が浮かび上がっていた。

「お行きなさい、ハーピー。メグにお仕置きをしてやるのよ」

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