魔女の瞳Ⅵ
「よく考えなさいメグ。修内太君と別れろと言っている訳じゃない。彼と一緒にいてもいい。その上でまたヨーロッパに戻り、デッドゲイトの繁栄に貢献しなさいと言っているの。どこに不満があるっていうの?」

「大有りです…お母様」

お母様に異論を唱えるのは怖い。

だけどここは譲れなかった。

「修内太は人間よ。お母様はそれを人外化しようとする。そんなの納得できない」

「何を馬鹿な事を」

失笑するお母様。

「それを言うなら、貴女は魔女なのよ?魔女が人間と結ばれる?そんな事できる訳がないじゃないの。貴女、魔女狩りの時の事を忘れたの?」

「……!」

私の人生の中で、最も忌まわしい記憶が蘇る。

人間と魔女。

結局は相容れる事はなかった。

エリスは私と一緒にいたばかりに魔女の嫌疑をかけられて火炙りにされ、私はそんな人間達を許せず、皆殺しにして『限定』の魔術を受けた。

この日本で数百年も生きざるを得なくなった、全てのきっかけだった。

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