魔女の瞳Ⅵ
空中で激しく打ち合いながらも、私は目的地…修内太が向かったであろう、天羽蘭花の洋館へと向かう。

「何を狙っているのか知りませんが、どこへ逃げようと私は目的を遂げるわよ?」

冷酷な声でお母様が告げる。

当主時代、お母様は敗北した事がないどころか、苦戦に追い込まれた事すら少なかったという。

これほどの魔女だ。

魔女狩りの時代においても、人間を寄せ付ける事すらなかっただろう。

私もお母様くらいの実力があれば、エリスを死なせるような事はなかっただろうにと、何度も自嘲したものだ。

お母様から逃げ切れないのはわかっている。

だから、逃げるつもりなど毛頭なかった。

逃がしたいのは修内太だけ。

私は彼が無事ならそれでいい。

私を再び『光』に導いてくれた彼。

彼が護れるのならば、私は…。

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