heaven
俺が コワイヨ ……

キラの表情が強張った。

また奪われる。

奪われる?
違うこれは俺のものじゃない。
たった二日前に出会って話して
 俺達の羽根を見て
「天使」なんて言って
そして、懐いてきた少女だ。
ただ、それだけ。
他人だ。俺の物じゃない

違う。

でもどうして
 こんなに苦しい

また?また奪われる?
以前何か奪われたってのか?

―――――――ない

しらない

「キラ!」

リフが叫んだ。
大丈夫だ。
キラもリフも
 こっち 
の世界の生き物じゃない。
こっち 
で害を加えようとする武器からは
完全に身を守れる。
あの銃も 弾も 
地雷も怖くない

「はぐれる気か!?
早く、早くついてこい!」
「あ……」

キラは慌てて銀色の翼を広げ、
リフの後を追う。

「リフ、その子は……」

目を瞑って泣きながら
リフにしがみつくシャーリィをよそに、
キラはリフの耳元で囁く。

「……俺達が助けることは出来ないんだよ」
「それでも!」

リフがキラをにらむ。
目にはうっすらと涙がにじんでいた。

ねぇ、どうして?

どうしてそんなに真剣になれる。
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