heaven
廃墟
 「シャーリィ!
……シャーリィ!」


声を張り上げ、廃墟をさまよう。
迷子になっているのはシャーリィなのか
それともそれを探す自分なのかもわからなくなる。
深い深い森の奥へと。

リフは弔いを終えて、
シャーリィの身体を野犬が掘り出さない深さへと葬る。
小さな花を添え、
その前で小さく手を合わせて十字を切り、
祈りの言葉を呟いた。
ここに魂はない。

「よぉ、リフ」

背後から聞きなれた声が振ってきた。

振り返れば、
全身を黒い衣装で包んだ青白い肌の少年が微笑んでいる。

「なんだ、……キールか」

キール、と呼ばれた少年は、
墨のように黒い髪の毛をさっと掻き揚げて
わざとらしくため息をついて見せた。

「なんだとはご挨拶だな、おまえも」
「うるさい、また、何をしに来た」

リフは軽く舌打ちをすると、
その場から立ち上がり
キールをにらみつける。

「何も、睨むことはないだろ……。
僕は 仕事 をしにきただけさ」
「仕事?ここにお前の仕事なんて、ないぜ」

「またまた、ご冗談を」

キールはクックッと笑って
背中の黒い翼を広げて見せた。

彼の仕事は、
霊魂を狩る事。
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