heaven
「もちろんだ。私は偽らないと言ったろう」

ルシフェルは薄い唇の端を釣り上げてわらった。
白い犬歯がのぞき、赤い瞳が細められる。

「もうすぐだよ」

その言葉がキラの心に深く突き刺さったのは言うまでもない。

これでよかったんだと。
あたりに漂う死臭のなか自分に言い聞かせた。

儀式の間と称された場所は彼の館の端の部屋だった。
部屋に足を踏み入れると、冷気が辺りを漂うのを感じた。

冷たい。

底冷えするその部屋は
館の中で一室だけ切り離されたようだった。

「ここが……」
「そう。ここに」

ルシフェルがつかつかと歩みを進めていった先には
見覚えのある棺があった。

黒く重いそれは、自分の大切なものを閉じ込めて
ただ冷たくそこに置かれていた。

ルシフェルは、棺の蓋の上に軽く腰掛け、それに手をかざして
何か唱え始める。
ほんの数秒なにかを読み上げたあと、彼はキラに手招きしてみせた。

「開けてごらん」

「え?」

「中の空気が外気に触れたとき、目覚めるものなんだよ」

「あ……」

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