heaven
「運命」と言う物が
決まっていて
人は死にたどり着く
 そのはずなのに

「戦」というものは
簡単に「運命」をねじ曲げる。

今日届いた手紙が、
そのねじ曲げられた
運命の告知だったのである。

キラとリフは
ひとまず戦火が治まっている今を見計らって
灰色の町に舞い降りた。
焼け果てたその村からは
人が焼ける鼻を突く臭いがする。
建物の不完全燃焼。
 焦げた畑


ああ もう いやだ

「だれ?」

小さな子供の声がした。
……背後から?
キラとリフは声の主を振り返る。

「おにいちゃんたち、だれ?」

「あ……」


シャーリィ。
ウェーブのかかった肩までの金髪に、
緑色の澄んだ瞳。
ガラス片やがれきの転がる町を
裸足で歩いてきたようだ。
うっすらと血が滲んでいる。
継ぎ接ぎだらけのワンピースをだぼつかせ、
こちらを見ている。


「キラ、どういうことだ
 どうして俺達が見える?」
「……霊的な力が備わっているのかもしれない……」

キラとリフは人ならざるもの故、
彼らの力無くしては、
もとい彼らの意志で姿を現さなければ
普通の人間には
姿を見ることが出来ない。
けれど、シャーリィには見えた。

不思議な力を持っている。

キラは直感した。

「……あの
 わたしは、シャーリィ。
あなたたちは?」
< 9 / 56 >

この作品をシェア

pagetop