【短編集】communication
「私の兄さんね。ちょっと精神不安定でね。極度のうつだったの。私、ずっと尊敬しながらも嫌いだった。完璧すぎる兄さんに。だから、兄さんの気持ちなんて考えてなかった。兄さんが壊れていくの気づかなかった。期待や不安に押しつぶされて、怖かったんだと思う。周りの反応と自分との温度差が。そんな兄を救ったのが穂積さん。私、妹なのに助けれなくて悲しかった。だから、知りたくなったの。穂積さんから見た兄さんを。今度からは、私が兄さんを救いたいから。だから、穂積さんのいる大学に来たの。」


私は、長々と説明した。


「そうだったんだ。俺....なんも理解してなかったんだな?」


「違うよ。私は、水人の前でしか素を出せなかった。」


「でも、もう遅いんだろ?」


水人は、悲しい眼をしていた。


「なにが?」



「穂積さんとつき合ってんだろ?」


「な、な、なんで?私と穂積さんは、兄妹みたいな関係で、ありえないよ。それに、穂積さん彼女いるよ。」


「マジで?」


脱力感タップリだった水人が復活した。


「私、水人をまだ好きだよ。後、同じ大学に行くって言わなくてごめんなさい。」



私は言ってしまった。
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