【短編集】communication
徒歩 15分。


ホント近いな。


この距離がいつも以上に近い。


ずっと胸がドキドキしてる。


ヤバイ。


でも、やるっきゃない。


私は、気合い充分に陽一の家のチャイムを鳴らした。


陽一は、すぐ出てくれた。


私の格好にちょっと戸惑いながらもあげてくれた。


てか...


なんか、陽一がいつもより無口。


気のせいかな?


機嫌が悪いのかな?


だって、陽一といるとなんでも話してくれる感じがしてたから。


「陽一?」


たまらず、私から声をかけた。


「なあ、一葉。なんで、いつもと違うんだ?彼氏とデートでもしてきたか?」


「へっ?」


「喧嘩でもしたから、うちにきたのか?」


なんか、勝手に話が進んでる。


てか、彼氏なんているわけないじゃん。


陽一が好きなんだし。


それに、彼氏がいたら、陽一の家に来ないから。


そこは、気づいてよ。


「陽一。私、彼氏いないよ。」


陽一は、ちょっとホッとした感じだったけど。


よかった。


「じゃあ、誰と?」


えっ?


なんで、わからないかな。


私、陽一のためのおしゃれなのに....


「私、ここくるのにこの格好したんだけど、ダメだった?」


陽一は、スゴい驚いた顔をした。


そして....


今がチャンスとばかりに、私は、覚悟を決めた。
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