【短編集】communication
待ち合わせは、9時。


いつも時間ピッタリの私は、10分前には着いていた。


待ち遠しかった。


私は、少し下を向きながら穂積を待った。


「たえ」


私は、顔をあげ、声がする方を見た。


「穂積。」


私は、笑顔を向けた。


「たえ、早いね。」


穂積は、ちょっと苛ついたように感じた。


「穂積も早いよ。まだ9時じゃないもん。いつも、待たせてごめんね。」


早くきてわかった。


相手が来るのが待ち遠しい分、不安があるって。


だから、謝った。


「いや。たえを待たせたくなかっただけど。今日は無理だったな。てか、行くぞ」


穂積は、目をあまり合わせてくれなかった。


いつもは、お互いの目を見て話すのに。



手も繋いでくれない。


遅かったのかな。
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