【短編集】communication
少しの沈黙の後。


「ねぇ。こうしない?」


急に静子さんが場の空気にそぐわない声をだした。


「母さん?」
「静子?」
「静子さん?」


「あのね。私、千也さんと籍を入れなくてもいいのよ。一緒にいれたらそれだけでいいの。だから、4人で暮らさない?」


静子さんは、優しい笑みを浮かべながら提案した。


「.....。そうするか?それからでも結論をだしても遅くない。」


「いいんですか?」


平太が確認の意味を込めて聞いた。


「私は、いいわよ。だって、平太と千鶴ちゃんが結婚しても千鶴ちゃんは、娘になるんだし。」


「・・・・・・」


私は、顔を真っ赤にした。


「まあ、平太くんがいれば、千鶴が一人になることはないから、不安が減るしな。」


父は、渋々了承した感じだった。


「ありがとうございます。」


「お礼を言われるようなことはしてない。」


父は、平太の言葉に戸惑っていた。
< 128 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop