【短編集】communication
周りは、真面目で優しいからお買い得って私に薦めてくる。


彼を好きだと言ってた子ですら、そうなのだ。


私にそんな魅力はないのに。


今までだって、平凡に暮らしてきたんだから、これから先も変わらないはず。


私は、変わったことされるような子じゃない。


私は、みんなに言われることを否定して、余計に彼を見なかった。


大学だって、必要な講義を受けて帰るだけにした。


騒がれてから大学が居ずらくなったから。


前なら、友達とわいわいしゃべってたんだけどね。


私は、必要以上に友達とも話さなくなった。


私の領域を掻き乱すものを取り除いて平凡を取り戻そうと必死だった。


周りなんて一切見えなくなった。


私がこんな現状になった理由さえもわからなくなるほどに混乱していた。


本能的に自分を守ろうとしている。


それしかわからなかった。


私は、極度に注目されるのが苦手というかなんというか....。


前に一度、こんな風になった記憶があるけど...。


頭が拒否する。


なにか嫌な思い出なのだろう。


頭痛がするのだ。


だから、危険と思うことから逃げ出した。


逃げ出すことがいい事じゃないのはわかってる。


けど、これは違う。


本能が訴えてくるから。


少しだけ頭を整理した。


そして、決めた。


なかったことにしよう。


これが最善の策だ。
< 135 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop