【短編集】communication
「照美。」


光は、寺っちがいなくなると私を抱きしめた。


「光」


「好きなんだ。俺のになってよ。」


「何を言ってるの?」


私なんていらないじゃない。


「お前がそばにいないのに女の子と話しても意味ないんだよ。寺田と付き合うなよ。」


夢を見てるのかな?


「ひ、光が悪いんじゃない。今更、言わないでよ。寺っちにちゃんと付き合おうって言うはずだったのに.....」


光は、私を強く強く抱きしめた。


「イヤだ。俺が好きなんだろ。」


「好きだよ。好きだった。けど、光のせいで毎日女の子に呼び出されて疲れちゃったよ。寺っちは、私を理解してくれる。守ってくれる。そんないい人いない。」


「俺は、ずっと照美が好きで。気持ちを知りたかった。ヤキモチ妬いてもらいたかった。ただ、それだけだったんだ。寺田は、俺の気持ち知ってたのになんでって思った。」


寺っち、優しすぎだよ。


私は、涙が流れた。


「寺っちみたいに私を大切にしてくれるの?」


「当たり前だ。あいつ以上に大切にする。照美が俺を好きだって言ってくれるだけで何があっても頑張れる。」
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