【短編集】communication
「....。」


「沼田、どうした?」


私は、無言になると、自然と涙を流していた。


「なんでもない。」


それしか言えない。


嫉妬してるだなんて。


私の心の醜さが嫌だった。


惨めだよ。


「なんでもなくないだろ。」


寺井は、優しすぎる。


誰にでもそうだ。


「今、優しくしないで。苦しくなるだけだから。」


私は、立ち上がって、寺井の前から去ろうとした。


でも.....


「俺らって、そんなんだった?」


寺井に手首を掴まれた。


「私は....私はね。」


言いたくないよ。


言っても振られるだけ。


わかってて言うなんて、惨めじゃん。


けど....


寺井は、やっぱすごいや。


フられるの知ってて言うんだもんな。


「俺さ。さっき言ったじゃん。好きな奴は幸せになって欲しいって。」


私は、頷いた。


「けど、それはな。自分で幸せにしたいってのがほかにいるからなんだよ。」


私は、首を傾げた。


「照美以上に必要な奴がいるんだよ。気づかなかったけど。照美が教えてくれた。『私と光のことばかり気にしてホントに大切な人を見えてないでしょ』って。よ〜く考えたわけよ。」


私には、なにがいいたいかわからない。
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