【短編集】communication
私、初音。


高校に入学してからいい人を演じている。


それは、同い年のイトコの環がうちに居候でいるせいだ。


高校に通うとともに環の父が転勤することになった。


環以外は、ついていった。


はじめは、環も一緒だったはずらしいけど。


兄の千秋の発言のせいだ。


あれは、卒業祝いで私と環の家族で食事をしていた時だっけ。


「てかさ。俺、いなくなるんだから、環にこの部屋使わせたら?」


なにも考えてない発言だよ。


兄は、大学進学とともに彼女の乃依ちゃんと同棲するからって。


私の意見なんて求められずに決まった。


どうでもいいけどさ。


けど、それが間違いの始まりだった。


だって、兄と環は口角をあげてニヤリとしてたなんて知らなかった。
< 198 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop