【短編集】communication
「はっ?」


「私だって、恋をしたことはあるよ。あれがはじめての恋。そして、最後の恋にしようと思った。」


環は、神妙な顔になった。


「なにがあったんだ?」


「大好きな人が事故で亡くなったの。私は、それから進めないの。心だけが、止まったまま。」


私は、一滴の涙を流した。


「俺がお前の悲しみもすべて受け止めても変わらないのか?」


「環が苦しむだけよ。」


私は、希望の光が見えてきた。


「俺は、それごと受け入れたいほど初音だけなんだ。」


いいのかな?


『幸せになれよ。』


遠くからあいつの声が聞こえた気がした。


「....。ずっとそばにいてくれる?」


「当たり前だろ。」


環は、くしゃって笑った。


私は、すべて話したらすっきりした。


あいつとのことは、忘れないよ。


あいつを好きだった自分を含めての自分だから。


「環ならいいのかもね。」

私は、そう呟いて部屋から出ようとした。


「えっ?で、どうなったわけよ。」


「とりあえず、これからよろしくってことで。」





end
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