【短編集】communication
ピークに達したある日、家を出た。


何も持たずに。


私は、はじめて歩いて街をフラフラした。


いつも目的地まで車。


あてもなく歩いた。


初めてだったから、興味の方が高かったのか疲れなかった。


ふいにぼーっとした瞬間。


-ドン


人とぶつかった。


「ご、ごめんなさい。」


私は、しりもちをつきながら相手に謝った。


「別に。」


相手はそっけなかった。


私はぶつかった相手を見ながら立ち上がった。


「....。」


私は、もう何も言えなかった。


こんな冷たい対応初めてだったから。


「君さ。ヒマ?」


切り替えされたように聞かれた。


「....。」


やっぱ、私は、もう何も言えなかった。


「じゃあ。行こうか。」


彼は、私の返事を聞かないまま私の手をつかみどこかへ向かった。


私は、意識を戻し、ようやく声を上げた。


「ちょ、ちょっと。」


「暇なんでしょ?」


「そんなの関係ないでしょ?」


「俺が暇なの。だから、つきあってよ。」


やっぱり有無をいわさず連れ回された。
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