【短編集】communication
「ここなに?」


「えっ?ボーリングだけど?」


「これが、ボーリング?」


私、初めてくるよ。


「君さぁ。」


「私は、ひばりです。」


「俺は、宗ね。ひばりはさぁ。はじめてなのか?」


私は、呆然とした。


だって.....


他人にはじめて名前を呼び捨てされたから。


てか、私を呼び捨てする方は、お父様とお爺様ぐらい。


「ひばり?」


「き、気安く呼ばないで。」


私は、動揺していた。


だって、男の方と2人きりだなんて。


頭の中がぐちゃぐちゃだし。


さっきから、よくわからないことになってると思う。


「ひばり。」


もう一度、名前を呼ばれた。


なぜか、心地よかった。


ふと、彼をちゃんと見ると。


かっこいい部類に入る方だった。


私は、思った。


恋は、無理でも。


遊びなら。


結婚したら、無理なんだし。


私は、楽しむ事にした。


願ってもない状況だから。


私と彼は、ボーリングを楽しんだ。


名前しか知らない彼。


それで、いいって思った。


最初、素っ気なかった彼は、笑顔を見せてくれた。


ドキってした。


これが、恋なんじゃないかって思うほど。
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