【短編集】communication
「ひばり。」


「宗?」


私は、首を傾げて名前を呼んだ。


「ひばり、写真見てなかったんだな。俺は、一発でわかったのに。」


「えっと...」


「とりあえず、行こうぜ。」


宗は、私をお見合いの席に用意していた個室を連れてった。


そして、座ると宗は話し出した。


「俺さ。お見合いは嫌だったんだよ。だから、遊びまくってた。写真は見てたからさ。ひばりの顔は知ってたよ。顔は知ってても親の言うなりになるような奴とはってね。けど、あの日さ。偶然会って変わった。」


「私は...諦めたの。けど、あの日、嫌になって家を出たの。私はすごくないのになんでって。宗に会えてよかったって思った。男の人と2人きりになったり全くなかったから。」


宗は、目を見開いた。


「まさか、キスとかもしたことないとか?」


「私、男の人と手をつなぐのもはじめてだった。学校は、ずっと女子校だし。大学は必要ないって行かせてもらえないし。いつも家にいた。」


ひばりは、顔を真っ赤にしながら言った。


「だからか〜」


宗は、納得した。


ひばりは、宗がニヤリとしたのを見逃さなかった。
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