【短編集】communication
「風」


晴夜が私の名前を呼んだ。


「晴夜、なんで。」


私は、辛かった。


晴夜に無理をさせてるのがわかるから。


「風、勘違いするなよ。俺さ。風の二十歳の誕生日にプロポーズしようって思ってたわけよ。順番が狂ったから...」


「嘘だ。」


私は、信じられなかった。


「嘘じゃない。はい、これ。」


私が晴夜から受け取ったものは....



「指輪?」


「今日、できたんだよ。」


晴夜は、照れていた。


「今日?」


「あぁ。澄斗の彼女が届けてくれたんだ。」


「澄斗くんの。」


「あぁ。澄斗が家に来てたからさ。俺が取りに行くはずだったんだけど。」


私の勝手な誤解が解けた。


だから、慌ててたのか。


そりゃあ、びっくりだ。
< 222 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop