【短編集】communication
「おまえら、わざとか?」


静也は、肩を落とした。


告白までは、いかなくても意思表示のチャンスだった。


「保奈美ちゃん、静也になにもされなかった?」


聡は、ニヤニヤ聞いてきた。


「お話してただけだよ。ねっ!静也くん。」


保奈美は、笑顔で静也に聞いた。


「あぁ。」


静也は、顔がすごく真っ赤になった。


「おまえも変わったな。」


聡が静也の肩をたたいた。


「ほなってさ。何もかもまだなんだよね?」


「えっ?なにが?」


「キスとか?」


「えっ?.....キスぐらいしたことあるもん。」


「マジで〜。って、初恋まだだよね。」


繭は、心底驚いた。


「...。だって、顔も名前もわからない人となんだもん。」


「マジ?」


聡が聞き返した。


「うん。夜の公園で男の人に絡まれたら助けてくれた人がいて。その人が私を彼女だって誤魔化すために....」


「それが、ファーストキスなの?」


「うん。」


「それっていつの話し?」


聡が聞いてきた。


「たしか....。一ヶ月前ぐらいだよ。」


「静也、おまえさぁ。」


聡は、呆れた。


「静也、最低。」


繭も静也を責めた。


「どうしたの?」


「俺から話すから2人きりにさせて。」


そういうと繭と聡は、またいなくなった。
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