【短編集】communication
「繭、俺....」


私と聡がつきあう前の話。


今思えば、みんなは、もどかしかったんだろうな。


私と聡は、明らかにカップルに見える。


けど....



実際は、つきあっていない。


この時、言葉って大事なんだなってわかった。


私も言葉が欲しいと。


でも.....


周りには、じれったくてもね。


私たちなりのペースがある。


長年のつき合いもある。


それを一瞬で変えるんだよ。


だから....


「繭、好きだ。」


私は、空耳だと思い隣の聡を見る。


顔が真っ赤だ。


聞き間違いでは、ないらしい。


だけど、なんて反応したらいいのかわからない。


「繭は、俺のこと好き?」


言葉でなんて言えないよ。


できることは....



首を縦に振り頷く事だった。


-ガバッ


聡に急に抱きしめられた。


予想外の行動。
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