【短編集】communication
慶太と話をしなくなって二週間。


私の家の前に私の大好きな人。


私は、久々の慶太に固まってしまった。


「夢羽、待ってた。」


久々に聞く慶太の声。


「うん。」


小さく頷くことしかできなかった。


そして、私の手を引いて慶太の家にいれてくれた。


これから、何が起こるの?


別れ?


頭の中で一瞬よぎってしまった。


ここから、逃げ出したい。


けど、慶太の私を掴む手はいつもより強かった。


「夢羽」


部屋の中に入り、私の名前を呼ぶと優しく抱きしめてくれた。


「慶太?」


私は、名前を呼び返す事しかできなかった。


「無視して、ごめんな。」

慶太は、悪くないのに何で謝るの?


「私の行動が軽率だっただけだよ。」


「俺、真実を聞くのが怖かった。それに、夢羽を壊してしまうって思ったから。自分なりの冷却期間。」


私のためだったんだ。


私のせいって思ったけど。


私に気を使ってくれたんだ。
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