【短編集】communication
飲みが終わりそうな頃には、私は酔っ払っていた。



「渡邉さん、ヤバくない?」


そんなこと言われても耳に入らなかった。


「渡邉さん、大丈夫?」


「はい。平気ですよ。」


笑顔で答えた。


「これは、まずいよ。佐藤、送ってやれ。お前が一番飲んでないんだから」



私は、佐藤くんに押しつけられた。


まあ、酔っていたから覚えてないけど。



「渡邉さん、家どこ?」


「真面目なんだね。」


初めて聞かれた。


いつもなら、俺んちいこうとかホテル行くぞが多いから。


聞き慣れたはずの言葉じゃなかったから。


聞いてしまった。


「はっ?」


佐藤くんは、意味がわからないみたい。


当たり前か。


「別になんでもない。佐藤くんみたいな人に早く出会いたかった。」



私が朦朧と意識があったのは、ここまでだった。
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