【短編集】communication
そして。


次の年の12月12日。


俺は、絵里と出会う前に戻っていた。


偶然だった。


街をフラフラしていたんだ。


女の子が友達を慰めるように言っていた。


『生きてる人が幸せじゃなきゃ。亡くなった人は幸せになれない。』


俺は、一気に絵里の言葉が蘇った。


そして、なぜか理解できたんだ。


自然にその子を見つめていた。


もう出会うことのない彼女に心の中で感謝した。


けど、まさかだった。


また出会えたんだ。


それが、うただった。


この先、絵里以上に愛せる女は現れないだろうけど。


また、前に進める気がした。


絵里。


俺、幸せになるよ。


絵里以外に好きになれそうな子見つけたし。


まあ、ダメだったけど。


進歩しただろ?


絵里。


見守ってろよ。


そして、見ててくれ。


俺が幸せになるとこを。





end
< 28 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop