【短編集】communication
「で、なんで帰らないの?」



「子づくり中に家帰れないでしょ?」


「親が?」


能天気に聞いてくる椎野くんにイラつきを覚える。



「なわけないでしょ?バカじゃない?」



「じゃあ、誰だよ。」



「お兄ちゃん。相手が妊娠してくれないと困るのよね。」



「なんで?」


てか、私は、何普通に答えてんのよ。


「どうでもいいでしょ?てか、帰る。同じマンションでお兄ちゃんがヤってるって思うだけで気持ち悪い。」



私は、この部屋から出ようとした。


「ダメ。最高のチャンスを逃すわけないだろ?」



チャンス?


しかも、最高って?


何を企んでるの?



私は、自然と椎野くんを睨んでいた。


「神崎は、何してもかわいいな。」


こいつ、バカ?



怒りよりは、呆れたのが強いかも。


「あのさ。何がしたいわけ?」


「神崎の理性を崩したいなって。学校では、あれほど完璧な神崎だから。」


「興味本位?」


そういうことだよね。


「まあ、神崎だから?」


「わかった。」


椎野くんはただ単に私とヤりたいだけ。


私は、服を脱ぎだした。


「神崎?」


「望んだでしょ?」


これは、過ちになるのかな?


違う。


気まぐれよ。


「別にやりたいわけじゃ....まあ、ヤりたいはヤりたいけどさ。順番があるじゃん。」


意味がわからない。


順番って、何?


私には、理解できない。
< 289 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop