【短編集】communication
「神崎は、俺が好き?」



私は、ゆっくり首を縦にふった。


「マジ?」


「うん。」


聞き直す椎野くんに私は笑顔で答えた。


たぶん、嬉しそうに椎野くんが聞き返すからだ。



私の返事を聞くときつく抱きしめた。


「椎野くん?」



「わりっ」


椎野くんは、私が名前を呼ぶと離れた。


とりあえず、気持ちは通じ合ったんだよね。



なら、いいのかな?


この後って、どうするのかな?



初めてだから、わからないや。


「あの....」


聞いた方がいいのかな?


でも......



言葉に詰まってしまった。


「どうした?」


椎野くんは、余裕そうだから、慣れてるんだね。


「私は、どうすればいいの?」


「なにが?」


椎野くんは、やっぱ意味がわからないみたい。


だよね。


でも、どう説明したらいいかわからないの。


「私、こういう状況初めてだから、わからなくて。」

「はっ?.....なのに脱ごうとしたのかよ。」


なんで、そんな驚くかな?


「だって、そうしたら男は喜ぶって。」


そう、お姉ちゃんの受け売り。


今は、違うけど。


「もしかして、違う男の前でも.....」



なんで、そんなショック受けてるかな?


「椎野くんが、初めてだけど.....どうかした?」


「初めてか。よかった。もうすんなよ。」


嫉妬なのかな?


いい方に解釈しておこう。


「うん。わかった。」


わかったけど.....


椎野くんは、やりたいんたよね。
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