【短編集】communication
「椎野くんって、いつも帰りはこのぐらいなの?」


確認しなきゃ。


「まあ、だいたいそうだけど、どうした?」


「じゃあさ。たまに来てもいい?さすがに半年ぐらいもフラフラしてると行くとこなくて。」



「半年?」


「うん。そういえば、椎野くんとは、初めて会うね。」


お兄ちゃんが来た時間が早かったんだっけ?


「今日は、いつもより遅く終わったから。」


「そうなんだ。私は、今日は、早かったの。」


本当に偶然だったんだ。


「じゃあ、そん時は来いよ。」


「でも、迷惑だよ。平日の晴れた日だもん。」



「そ、そんなに頻繁なわけ?」



「そうだよ。お兄ちゃんの彼女がなかなか妊娠しなくてね。」


もしかしたら、妊娠してるのかもしれない。


ただ、一緒にいたいだけなのかもしれない。


それでもいいんだけど。



「他にフラフラするんなら俺んち来いよ。俺が不安だ。」


「いいの?遠慮しないで本当に行くよ。」


「あぁ。俺も一緒にいれたら嬉しいし。」
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