【短編集】communication
「もう少しだけ待って、瑛太を好きなんだけど...」


(どうしても、雨琉が忘れられないの。)


これは、言えなかった。


この胸の痛みが私を苦しめていた。


どうしたらいいかなんてわからなかった。


あの日々の幸せと苦しさがなかったら、大丈夫だったのかな。


同じようになりたくない。


その理由が一歩踏み出す勇気を止めた。


「俺を好きなの?」


瑛太は、吃驚していた。


「好きだよ。じゃなきゃ、お試しでも3ヶ月も一緒にいないよ。」


可能性がなかったら、断るよ。


瑛太に悪いから。


「流香の気持ちが俺にあるなら我慢できる。」


瑛太は、なんか嬉しそうだった。


私、そんな事言ったかな?


私は、気づいてなかったんだ。


瑛太に『好き』と言うのが初めてだって事が。


瑛太は、エッチとかキスとかよりも心で繋がっていたいみたいだ。


そんな心でお互いの気持ちを確認できたときにこうだよね。


幸せってそんなに続かないって思った。
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