【短編集】communication
私は、すぐに瑛太のところに行った。



「瑛太、ありがとう。助かった。」


私は、瑛太に微笑みながらお礼を言った。


瑛太は、何のことかわからずキョトンとしていた。


戸惑っているようだ。


「流香は....」



私は、瑛太の言葉を待った。


そして、いつもと違い気まずいオーラ。


静かな瑛太に私が戸惑うよ。


「瑛太、あれは元彼。」


正直に言った。


隠すことなんかない。



私にとって過去の人。


「流香は、あいつが?」


勘違いしてる。


仕方ないか。



「うん。忘れられないって、思ってた。だけどね。実際にあったら、わかったの。瑛太しかいらないって。」



「嘘だろ?」


どうしても、信じられないみたい。


まあ、あんな微妙なところを見たらね。


「嘘じゃない。瑛太は信じれるけど、あいつは信じれないから。」


「なんで?」


「瑛太は私を守ってくれる。けど、あいつは逃げた。」


それが、憎いんだよね。


「俺のせいだけど、流香が好きだから....」



「それが嬉しいの。私、あいつの時にそれを望んでた。」


瑛太は、私を気遣い支えてくれる。


私の気持ちを知らなくても。


見返りをあまり求めてない。


そんな気がする。


それが嬉しくて。



好きになった。
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