【短編集】communication
部屋に通されてから、私は聞いた。


「龍、なんかいいことあったの?」


「う〜ん。まだない。ただ、嬉しくてさ。」


「嬉しい?」


ますますわからない。


「俺さ。好きな奴がいるんだよ。そいつはさ。男らしいやつが好きだって聞いたからさ。やっぱ、頼られるような男になりたいからさ。勉強とかスポーツがんばったりしたんだよ。」


「ふ〜ん。よかったね。でも、その子彼氏いないの?バレンタインに独りはむなしいよ。」


龍が、そこまで思ってる子がいるならうまくいってほしい。


けどさ。


時期が時期なだけにね。



「なぁ。音、彼氏いる?」


「わ、私?私は、いないよ。」


てか、今の話のくだりに私、必要?


「ふ〜ん。いないって。」


「はっ?なに言ってるの?」


龍は、バカになった?
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